沖縄県の統計によると、県民総所得に占めるいわゆる米軍基地経済(軍関係受取)の割合は、復帰の年1972年の15.5%から15年ほどで5%程度に減りました。この数字はその後も5%前後で推移してきましたが、これは観光収入の約半分で、県経済に与える影響は小さいと言えます。
軍関係受取は、米軍関係者の個人消費、基地内で働く従業員の給与、軍用地料です。これらがもたらす波及効果の全容をつかむのは難しく、基地経済を正確に測った統計は見当たりません。いずれにせよ、基地がなくなればこの所得はなくなりますから、無視できない存在であることは確かでしょう。その分基地に依存しない経済を工夫していく必要があります。
軍関係受取とは別に、住宅防音工事や漁業補償など防衛省予算も基地経済に加えるべきだ、との指摘もあります。これを加えると観光産業に匹敵する数字に膨らみます。これは、騒音対策や補償など経費も収益とみなし、基地経済の波及効果を大きく見積もろうとする議論ともいえます。忘れていけないのは駐留軍経費がすべて私たちの税金であり、米側には日本に対する負担増加要求が潜在していることです。
一方、返還された基地が空き地になり、そこでは何の経済活動も行われないという訳ではありません。アメリカン・ビレッジやおもろまちの例を挙げて、返還前と返還後で雇用や税収などの経済的プラスが何十倍にもなるとの試算も示されています。雇用は確実に増えますが、返還跡地利用が全てショッピングモールになるわけではありませんから、これは「しっかり工夫すれば現状維持かそれ以上」ぐらいの話としておきましょう。
とは言え、基地返還跡地が地元経済のプラスになった例は米本国でもたくさんあります。要は、私たちのジンブン(知恵)を総動員して素敵な空間を創り出そうという事です。(星野・屋良)
この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/6-1_31.html
(修正 2016/05/12)