2016年3月31日木曜日

もっと知りたくなったときの参考文献集

#1 基地
『暮らして見た普天間』植村秀樹/吉田書店(2015)
『日本はなぜ米軍をもてなすのか』渡辺豪/旬報社(2015)
『米軍基地の現場から』沖縄タイムス社他合同企画「安保改定50年」取材班/高文研(2011)

#2 海兵隊
『砂上の同盟』屋良朝博/沖縄タイムス社(2009)
『誤解だらけの沖縄・米軍基地』屋良朝博/旬報社(2012)
『虚像の抑止力』新外交イニシアティブ編/旬報社(2014)

#3 日米安保
『米中冷戦と日本』春名幹男/PHP研究所(2012)
『抑止力を問う』柳澤協二・他/かもがわ出版(2010)
『日米の戦略対話が始まった 安保再定義の舞台裏』秋山昌廣/亜紀書房(2002)

#4 尖閣・南西諸島『防衛』
『検証 尖閣問題』孫崎享編/岩波書店(2012)

#5 中国
『開発主義の時代へ シリーズ中国近現代史第5巻』高原明生・前田宏子/岩波新書(2014)
『「反日」中国の真実』加藤隆則/講談社現代新書(2013)

#6 沖縄経済・財政
『沖縄の米軍および自衛隊(統計資料集)』沖縄県知事公室基地対策課
『ひずみの構造─基地と沖縄経済』新報新書/琉球新報社(2012)
『国と沖縄県の財政関係』池宮城秀正/清文社(2016)

#7 米兵・地位協定
『米軍基地の歴史 世界ネットワークの形成と展開』林博史/吉川弘文館(2012)
『検証地位協定 日米不平等の源流』琉球新報社/高文研 (2004)
『各国地位協定の適用に関する比較論考察』本間浩/内外出版(2003)

#8 運動
『日本にとって沖縄とは何か』新崎盛暉/岩波新書(2016)
『沖縄ラプソディー』宮城康博/御茶の水書房(2008)

8-13 反基地運動が、基地問題の人質として普天間第二小学校の移転を妨害した。 ???

 1983年安次富盛信宜野湾市長(当時、保守系)が、普天間第二小学校の移転をめざし、25億円かかる用地買収費の負担が宜野湾市単独では困難であったため、国に「用地・造成費の捻出に大変苦慮している。特段のご配慮方お願いします」と要望しました。

 しかし国は「用地費の補助は制度にはない」と回答し、取り合いませんでした。84年米軍側からは同じ市内の別の基地であるキャンプ瑞慶覧の一部を小学校の移転先として、返還してもいいという吉報が届きましたが、受け入れることのできない条件が付けられていました。それは、「普天間第二小学校の敷地およびすべての建物を普天間飛行場として合衆国政府に提供すること」でした。

 せっかく返還され市民のものとなった土地を再び米軍に引き渡すという条件です。那覇防衛施設局の無補助と米軍側への提供の条件は、決して変更してもらえず、安次富市長も決断できず、次の市長もこの条件を受け入れることはできずに、普天間第二小学校は移転が実現できませんでした。(参照:沖縄タイムス2016年1月31日)(島袋)

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8-12 基地反対派には沖縄独立派が多く、沖縄を日本から独立させてその後中国領にするつもりだ。 ???

 沖縄には日本からの独立を唱える人々も確かにいます。そもそも琉球国は、中国との朝貢関係にあったものの実質的に独立した存在であり、江戸幕府が幕末に西洋列強と結んだ条約と類似の条約を結んでいました。日本政府は日本が江戸時代末には主権国家的な存在であったとされていたため、このような国際条約を結ぶことができたと評価しています。ほぼ琉球国も同じような条約、1854年には米国との間に琉米修好条約を、翌年にはフランスと間に琉仏修好条約、59年にオランダと琉蘭修好条約を締結しています。

 つまり、日本と同じような国際社会の主体、国家に近い存在であったということです。このような主体を武力威嚇によって、沖縄の同意なしに日本に強制併合したことは国際法違反であり、沖縄は自らの統治権を自らの意思で放棄したことは一度もなく、今なおその権利があり、要求できるとする考え方が、独立派に多いと言えます。この権利を「自決権(自己決定権)」といいます。これが独立の論拠です。

 したがって、その考え方では、沖縄を統治する権力は沖縄の人々だけにあり、当然ながら、中国にはありません。中国による沖縄統治は、自決権の論理に基づけば、まったく正統化されないものです。それどころか、中国が支配するチベットやウイグルの人々、あるいは台湾先住民族の人々も沖縄と同じく自決権があり、それは最大限、尊重されなければならないということになります。したがって、沖縄独立派の多くの方々の考え方は、自決権を主張するチベットやウイグルの人々、台湾先住民族の方々の考え方と共鳴することになります。

 つまり、沖縄の独立を基礎づける考え方は沖縄が「自決権」を持っているというところにありますので、中国領となることも断固拒否し、現在の中国領となっている自決権を持つ地域や人々とも共鳴しているということです。(島袋)

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8-11 沖縄の基地反対派は安全保障を否定する、一国平和主義者だ。 ???

 西銘順治、稲嶺恵一、仲井真弘多、翁長雄志といった沖縄の知事たちは、日米安保に賛成する一方で、普天間飛行場の返還をはじめ在沖米軍基地の削減をずっと政府に求めてきました。保守系で日米安保賛成の立場をとる、この4人の知事の任期は合わせて約21年(2016年3月現在)。革新系知事の屋良朝苗、平良幸市、大田昌秀の任期は足して約14年半ですから、復帰後の沖縄では保守県政の方が長く続いています。このように、安定的な県政運営をしてきた保守系知事でさえ、基地削減を主張してきたということは、基地反対が思想ではなく大多数の県民の生活実感に根ざしたものであることを示しています。(山本)

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8-10 基地の地主は国から毎年膨大な金をもらって、六本木ヒルズに住んでいる。 ???

 なんでこんなことがまことしやかに言われるかというと、日本国内の自衛隊や米軍基地の土地がほとんど国有地なのと違い、沖縄の米軍基地は個人や自治体の土地(民公有地)が70%と大半を占めていることに起因します。なんでそんな違いがあるのかというと、他都道府県では戦前の日本軍の基地(土地)が利用されていますが、沖縄の米軍基地は沖縄戦時およびその後の米国施政権下において米軍が人々の土地を強制接収した土地が多いからです。

 沖縄県民は「基地のない島」を願い日本国憲法の下への復帰を目指しましたが、実際には1972年に施政権が日本に返還されたことで、沖縄の米軍基地はそのまま居座り続け日米安全保障条約に基づく日本国政府による米国への提供施設および区域となりました。日本国政府は、土地の権利者(地主)と契約を締結するようになりますが、その地料は、1972年以降右肩上がりで上昇を続けています。さらに政府は、軍事基地に土地を使わせたくない地主から強制的に土地使用できる法律までつくっています。

 沖縄の基地問題は、基地の存在および活動から生じる騒音や事件事故等の被害もありますが、土地問題も大きいものがあります。基地が所在する自治体においても、基地は地域づくりの妨げになる一方で地料などの歳入が使途自由な一般財源として構造的に組み込まれており、それがなければ行財政に支障を来す財源になっている側面は否定できません。

 それでは、基地の地主はどれほどの地料を得ているのでしょう。政府が2015年7月10日に閣議決定し明らかにした情報によると、2014年度末で普天間飛行場の地主は3,897人で年間地料は72億7,373万3,110円です。100万円未満の地料を受け取る地主が2,056人で全体の約52.8%。100万円以上200万円未満が821人で約21.1%。あと細かい分類は省きますが、大半の地主の年間地料は200万円未満ということがわかります。1千万円以上が81人で約2.1%おりますが、その中に六本木ヒルズに住んでいる人がいるかどうかはわかりません。(参照:衆議院議員照屋寛徳君提出米軍普天間飛行場の形成過程と軍用地料の支払額別所有者数等に関する質問に対する答弁書 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b189306.htm)(宮城)

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8-9 辺野古についても地元の人たちに決めさせればいいことで、本土の人間が反対するというのはオカシイ。 ???

 これは、名護市の公共施設を名護市辺野古に建てることについての問題ではありません。日本の国家財政から、1兆円に上る巨額の予算を費やして海を埋め立てて、軍事的に日本国民が信じ込まされているような機能を持たない在沖海兵隊のために、彼等の思うままに私たちの税金を使うという話なのです。日本国民皆が自らの問題として考えるべきであるのは当たり前です。

 この1兆円は、福祉、教育、子育て、就労支援、医療、等々の国民生活を直接支援することに使える金です。陸自オスプレイ17機の3,600億円という値段は、全国立大学の年間授業料総額や、全国の保育士の給与水準を、全産業賃金と同じに引き上げるのに必要な額と同じだそうです。あるいは、金がかかり過ぎるので建設を止めた、ザハ・ハディド氏案の新国立競技場の建設費用2,500億円に、年間30億円という維持費を30年分加えたよりも額が大きいのです。

 安全保障、軍事だからと、国民が目を光らせないと、いいように税金が浪費される、その典型例が辺野古です。本土の人間が反対しないで良いのですか?(佐藤)

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8-8 辺野古に集まっているのは「自称」市民たち。 ???

 現在、辺野古にキャンプ・シュワブのゲート前での抗議行動に参加する方々のうち、最大数は、那覇からチャーターバスで毎日3〜40名程訪れる島ぐるみ会議の参加者です。このバスは、毎朝午前9時半までに県庁前広場に集まれば、どなたでも乗ることができます。それと同時に市町村単位の島ぐるみ会議(30市町村以上)が存在し、週一回程度バスを派遣しています。北部近隣市町村の島ぐるみ会議は、早朝の時間帯に訪問を設定するなど、毎日、島ぐるみ会議系の組織のバスが入れ替わり立ち替わりで辺野古に集結し、少なくとも200人以上の市民が抗議に参加しています。この方々は当日にバス代を支払い、お弁当を持参して、自発的に参加するのであって、労組や職場の命令、政治団体の命令で参加してるわけでありません。平日はしたがって、退職後の方々が多くなる傾向にあります。土日だと若干若い方が多くなります。

 チャーターバス以外の方々は周辺集落からの参加者、自家用車で乗り合いをして中南部あるいは近隣市町村から直接来られる方々も多くいます。これも自発的な参加者です。労組や企業ごとに団体で来ることはまれにありますが、組織的に資金負担を行い抗議メンバーを辺野古に長期常駐させることはまったくできない状況です。それほど裕福な労組も企業も今の沖縄にありません。(島袋)

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8-7 普天間周辺の住民をはじめ沖縄県民には移設賛成の人も多いのに、その声は中国などの影響下にある偏向した地元マスコミによって握りつぶされている。 ???

 辺野古賛成の人がいるのも事実です。しかし、県内の選挙結果を見たときに、2006年から10年間、辺野古の現在の新基地案を支持・容認して勝った、知事、地元名護市長、県議会多数、沖縄県選出衆参両院議員はいません。2016年現在、辺野古推進を主張している沖縄選出国会議員は、全員が2010年(参院選)2012年(衆院選)に当選した時には普天間の県外移設を公約として掲げていた事実を忘れてはなりません。2014年の知事選挙と総選挙だけの結果ではないのです。

 つまり、選挙の結果という最も公的な「意見表出の機会」で、県民は10年にわたり、辺野古現行案に反対してきたのです。

 地元マスコミが中国の影響力の下にある、という証拠は何もありません。言論の自由を認めない中国共産党政府を積極的に支持する地元報道関係者など、ほとんどいません。沖縄の報道機関は、国からの様々な圧力に抗して、県民の立場からの報道を心がけてきました。沖縄の報道機関は、復帰前、米軍施政下では、人権保障がなかった訳ですから、言論の自由も日々勝ち取らねばならなかった経験を持つのです。戦争に負けて、憲法が変わって、闘うことなく言論の自由を勝ち取れた、県外の日本マスコミとは覚悟が違うのだと理解して下さい。東京の政府に反対するのが、全て中国の影響だという考え方は、言論の自由を認めない中国共産党政権と同じような考え方に立っているとわきまえるべきです。(佐藤)

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8-6 沖縄の地元紙、沖縄タイムスと琉球新報は偏向新聞だ。 ???

 県紙に求められるのは地域に寄り添った「県民目線」です。沖縄に「軸足」を置いているからこそ、地域の声を重んじるのは当然です。さらには報道機関として権力監視という役割も課されています。地元世論を無視し、政府の言い分を垂れ流すだけであれば、それこそ「偏向」であり、報道機関としての使命をも放棄したことになります。

 たとえば県民の8割が辺野古新基地建設に反対している状況にあって、県紙がそうした声に寄り添い、政府側に対して厳しい論調を示すのは自然なことです。

 沖縄の新聞を突き動かしているのは地元世論です。戦後、沖縄では保守系紙も含めて多くの新聞が創刊されました。激しい競争のなかで生き残ったのが沖縄タイムスと琉球新報の2紙でした。それは県紙が持つべき「目線」と「軸足」が評価されたからにほかなりません。「偏向」のレッテル貼りは、沖縄県民の意思を愚弄するものでもあります。(#8-⑦参照)(安田)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/8-6.html

8-5 反対運動は、補償を受けるための駆け引きの道具である。 ???

 辺野古基地建設の反対運動を、近隣住民や名護市の関連企業が、政府からの補償を大きく引き出すための駆け引きの道具としてやっているということはあるのでしょうか。

 キャンプ・シュワブのゲート前や、大浦湾海上での抗議行動は、警視庁機動隊や海上保安庁保管官による確保、排除などの実力行使にさらされます。また、警察や海上保安庁は、抗議運動参加者一人一人をビデオ撮影しています。抗議運動の参加はそういう取り扱いを受ける覚悟が必要となります。

 基地建設により損失補償、被害補償的な資金提供を受ける可能性があるのは、特に直接的な影響がある周辺集落の住民と、大浦湾を漁場とする漁業組合員に限定されます。周辺住民や漁業者が、補償金だけを目当てにして、警察や海上保安庁が厳しく対処している抗議活動や反対運動をあたかも支援しているかのように振る舞う、あるいは反対運動の一員となっているふりをして参加することは無理があります。

 沖縄県知事や名護市長の反対表明が、県や市の財政とどう関係しているかについては、#6沖縄経済・財政(38ページ〜)を参考にしてください。(島袋)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/8-5.html

8-4 辺野古基地周辺集落の住民は反対運動をまったくしていない。 ???

 辺野古をはじめ、豊原、久志、二見、大浦、瀬嵩、汀間などの近隣集落において、生活の場で、人が交わる日常の場で、「反対」または「賛成」を明言することや態度で表すことは簡単なことではありません。ゲート前や海上の反対運動や抗議活動に加わることも、あるいは逆に抗議活動に明白に反対の態度を示すこともです。集落への補助金や様々な利益の可能性への期待、反対へのあきらめなどもあり、集落によって違いはありますが容認している人も少なからずいることも事実です。しかし、いずれの立場でも多くの方々は、長年にわたる対立で疲弊しています。対立は、集落の一体性や共同性を突き崩し、共同や相互扶助の取り組みにとってはその障害となるので、基本的には「賛成」、「反対」をおおっぴらに表明することは困難なのです。

 ゲート前や海上の抗議行動に加わる周辺集落在住の方々もいますが、周辺集落以外の地域からの参加者が多いことは確かです。しかし、辺野古基地の建設現場は、宜野湾市普天間飛行場から40キロも離れていない距離にあり、札幌市や広島市などの政令指定都市に置き換えると、市内移設となる近い距離にあります。かりに建設されるとなると、沖縄本島周辺全体の沿岸及び海域に影響が生じることが考えられ、オスプレイの訓練空域は沖縄本島全体を覆うがゆえに、中南部であっても大きな影響を受けます。そもそも、「地元」を狭く狭く解釈して、辺野古、豊原、久志の三集落だけに限定する考え方に問題があります。(島袋)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/8-4.html

8-3 反対派は、中国の工作員に扇動され中国に内通している。大半は韓国・中国人、日本国籍でも帰化人。 ???

 これもよくみかけるデマですが、主張に証拠(エビデンス)がいっさいないので反証しようがないデマだといえます。沖縄と韓国の一部の人々や運動体は、駐留する米軍基地に反対するという行動を通して1990年代の半ばから「民衆連帯」の交流を重ねている事実はあります。韓国と沖縄の米軍基地は、東アジアにおける冷戦構造と軍事大国アメリカの覇権主義の上に立脚しており、そして日本国では台頭する中国の軍事力の増大が強調され集団的自衛権の行使を認める憲法違反の法整備や防衛費の上昇が進行しています。それらの動向と、このようなデマは軌を一つにしているようです。デマの発信源の意図するところでは、戦争には敵が必要であり、それが中国や「北朝鮮」ということなのでしょう。

 沖縄の広範な県民・市民の支持と参加を得て行われている新基地反対運動は、憲法の平和主義に則り、東アジアの平和構築を願っています。これは生活の場所である島が戦場になることで地獄を体験/追体験した民衆の、戦争絶対否定の願いです。このような願いが、戦争を遂行したい勢力には邪魔なのだろうと思えてなりません。であるから、このような根拠のないデタラメなデマが横行するのでしょう。(宮城)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/8-3.html

8-2 沖縄の基地反対運動は日当2万円が支給されている。 ???

 そのような金を誰が持っているのかを考えたら、いかに荒唐無稽な嘘かがわかります。沖縄の基地反対運動の中心を担ってきた労働組合、特に、教員組合と自治労は、組織が弱体化していて、これは全国と同じ傾向です。沖縄の「革新政党」も、かつてほどの組織的基盤があるわけではなく、自分達の存続で精いっぱいです。

 全国から大きな寄付を集めた辺野古基金は、当然のことながら、その会計は慎重に運営していて、言われるような日当が出ていないことは、会計報告を見れば明らかです。

 中国からの資金援助があるという話が広く流布していますが、9.11後に、世界的に外国為替の管理が厳しくなっており、そのような流入があれば、当然日本政府が捕捉しています。

 辺野古で座り込みをして、警察や海保に威嚇されるのが、どれほど怖いことか分かりますか?悠々と、どころではないですよ。沖縄の、特に米軍施政を経験した50代以上の人々の、強い思いを理解出来ないから、このような話が広まるのでしょう。(佐藤)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/8-2.html

8-1 政府は建設意思を固めており、地元がどう反対しようが辺野古新基地建設は阻止できない。 ???

 米軍は1954年3月立川飛行場含め日本本土5カ所の米空軍飛行場の滑走路拡張を要求しました。1955年5月に日本政府は東京都砂川町(現立川市)に基地拡張の通告を出しました。1955年9月、翌56年10月に接収のための強制測量が行われました。10月の測量の際には、現地住民と学生デモ隊が警官隊がはげしく衝突し、政府は測量打ち切りを決定し、最終的には建設断念に追い込まれます。

 沖縄においても、強制接収を、断念に追い込んだ事例が多くあります。1965年12月末、具志川村(現うるま市)昆布の集落に対して、米軍施設天願桟橋の増強のため、周辺農地2万1千坪(約7万平方メートル)の強制接収を通告しました。昆布集落の住民は、接収予定地にテントを張り、さらに闘争小屋を建てて、畑の作物を育てながら非暴力の闘争を継続し、ついに5年後米軍は、強制接収を断念しています。

 1970年12月には、国頭村伊武岳の実弾射撃演習の通告があったのを、国頭村民が土のうの上に陣取る海兵隊員を引きずりおろし、着弾地点に入り込み、体を張って阻止することによって、訓練が中止になっています。

 1989年1月8日、国頭村の安波ダム周辺の土地の異変に気が付いた住民が問い合わせると、那覇防衛局もようやく米軍のハリアーパッド建設計画を発表、工事はかなり進んでいました。安波ダム入口で区長らが米軍に激しい抗議をする最中、住民が強行突破し、工事現場になだれ込んで工事を阻止、そのまま米軍は工事続行を断念しました。

 戦後の歴史において、米軍が安全保障上の理由をつけて意思を固めても、実現できなかった米軍基地の建設はいくつもあります。絶対に阻止できないということはないと断言できます。

 沖縄の人々の土地や沿岸は、沖縄の人々が、自分たちの意思に基づいて、開発または保全し、利用する権利があります。この権利は、米軍や日本政府の持ち出す軍事的理由に優越します。世界的には当然とされる地元の人々の権利で、国連は日本政府に対してその尊重を訴えています。安全保障上の理由をつけてこの権利を侵害することはできません。日本が国連から脱退するあるいは国際条約から脱退するのでないかぎり、この権利は保障することが義務とされています。(島袋)

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7-3 米兵による性犯罪発生率は、沖縄県のそれよりも低い。米兵による事件・事故の被害は、誇大に宣伝されている。 ???

 本来、外国軍が駐留していて、その兵士による犯罪があれば、1件でもあってはならない「余計」な件数です。

 アメリカ政府・国防総省は、アメリカ軍の「内部」での性暴力の防止に苦労していて、専門の性暴力防止・対応部を設置しているほどです。2015年5月に発表された最新の年次報告書では、一年間で米軍人約20,300人が、性暴力の被害者となったとされています。このうち女性兵士が約9,600人で、アメリカ軍の女性兵士全体の4.9%に上ります。男性兵士の性暴力被害約10,600人は、衆目の中で裸にする、といった「いじめ」的なものが多いのですが、女性兵士が被害を受けたのは、いわゆる性犯罪です。言葉によるハラスメントは、この中に含まれません。この数は、実際の届け出数の数倍あり、性犯罪被害者が訴え出られない状況が軍の中でもあるため、憂慮した国防総省が実数を探るために様々な調査をした結果です。

 アメリカ軍は、自らの内部で、自らの女性兵士すら守れていません。実に、一年間に20人に1人の女性兵士が性暴力の被害を受けているのです。沖縄の米軍が性暴力防止で抜きん出た成果を上げている事実もありません。

 こうした軍隊という組織の中で、重いストレスのかかる訓練を受けている若い兵士が、沖縄の街に多数繰り出しているのです。事件の度に米軍が言う綱紀粛正・再発防止が不可能であることは明らかです。(佐藤)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/7-3.html

7-2 最近、沖縄の人は「差別だ」と騒ぐけど、被害妄想もはなはだしい。 ???

 米軍基地が沖縄に置かれた起源はあの悲惨な沖縄戦に行き着きます。沖縄戦の前年1944年、米海軍省作戦本部が作成した「民事ハンドブック」にこんな一文があります。「日本人は琉球人を同等と見なしていない。さまざまな方法で差別している。日本と琉球には政治的に利用し得る軋轢がある」。日本の沖縄に対する差別感情に米国は目をつけたわけです。日本が高度成長を遂げるころ、沖縄は戦後27年間も米軍統治下に置かれ、住民を排除しながら基地建設が進みました。過去に海兵隊の米本国撤退や日本本土移転も検討されましたが、日本政府が拒否しました。2012年に米軍再編で海兵隊1,500人を山口県岩国基地へ移転する計画を米側は打診しましたが、日本側が拒否。2015年に佐賀空港へオスプレイの一時移転を政府は考えましたが、地元の反発で断念しました。沖縄では主要選挙で何度も反対の民意を示していますが、政府は完全無視です。44年米報告の通り、差別的です。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/7-2.html

7-1 米軍に守ってもらっているため、地位協定で米軍に特権を与えるのは当たり前。 ???

 海外旅行で日本製家電を使うときアダプターを持っていきます。地位協定はそのような「装置」と同じです。米軍が日本の国内法を守ると軍隊として機能しなくなります。飛行場で弾薬を乗せた飛行機を飛ばすと違法行為になり、日本に入るとき入国管理手続き、手荷物検査などをいちいち受けなくてはなりません。そうした日本の法規制を除外するのが地位協定です。一方、自国のルールを守らせることは主権の問題です。ですから、そのバランスが問題となります。英国やイタリアにも米軍は駐留し、日米地位協定とほぼ同じ内容の地位協定があります。大きな違いは英伊では基地の管理権を渡さないので、例えば軍用機を飛ばす回数や時間帯など細かく規制できます。そんな意識がない日本では米軍がやりたい放題です。米軍を自国の安保政策に利用する意図はどの同盟国も同じです。でも主権意識の希薄さが地位協定の運用に現れ、日本は特権を与え過ぎる問題があります。(屋良)

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6-5 基地の中で働いている従業員が多くいる。基地がなくなると困る。 ???

 基地従業員はおよそ9,000人なので県内最大の就職先です。だから明日基地がなくなると失業者が路頭に迷うかもしれません。しかし翁長雄志沖縄県知事は普天間飛行場の辺野古移設は反対だと主張しており、基地をすぐに全部閉鎖しろ、とは言っていません。在沖米軍基地中、海兵隊基地の従業員数が3,000人で最大ですが、このうち普天間の雇用は200人のみ。沖縄の労働人口は計68万人なので、仮に海兵隊が全面撤退するとしても3,000人をどう吸収していくかという問題にすぎません。

 基地従業員の定年などによる自然減は年間約200人です。普天間の移設返還は10年後と言われており、時間という要素を雇用問題に利用できるとすると、10年で2,000人は自然減なので、新採用を止めれば首切りなく雇用調整ができます。離職・転職支援制度をしっかりプログラムすれば雇用問題はクリアできる課題です。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/6-5_31.html
(修正 2016/05/12)

6-4 沖縄振興予算は、基地負担と引き換えの優遇措置である。 ???

 沖縄県の自治体への国の補助事業と、国の直轄事業を合算して財務省に計上するものが「沖縄振興予算」と呼ばれます。

 他府県では、国土交通省、農林水産省、経済産業省などの国の事業官庁が、その府県における国の直轄事業及び自治体へ補助事業を各省予算として、ばらばらに計上しているものです。沖縄県に関してだけは、内閣府沖縄担当部局が各省庁の沖縄分を合算し一括して、財務省に計上する仕組みとなっています。計上後の予算の執行権限は、また各省庁に戻されるということで沖縄分を一括計上するときの看板のようなものです。

 これは1971年に北海道開発庁の仕組みをモデルとして作られたもので、米軍基地の存在とは無関係に沖縄の振興開発はなされるべきとされましたので、特に基地負担の引き換えとして法制度に明白にされた優遇予算はありません。

 したがって、基地がある市町村と、基地がない市町村とで、あるいは賛成する市町村と反対する市町村とで、沖縄振興予算に差がつくことはありません。

 法制度上も基地負担の引き換えが明瞭なのは、沖縄振興予算ではなく、防衛省が実施する事業の予算です。「沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業(通称・島田懇談会事業)」は、基地がある故に特別に出される補助金であり、さらに基地建設の見返りとして特徴を持つのが、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(いわゆる「米軍再編特措法」)です。これは、基地があるかないか、あるいは、基地建設に賛成か反対かで、補助事業予算が配分されるか配分されないかが決まります。名護市は建設に反対派の市長が当選しましたので、名護市への米軍再編交付金の交付は、停止されています。(島袋)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/6-4_31.html

6-3 基地負担の見返りとして沖縄は財政的に優遇されている。 ???

 沖縄振興予算は、そもそも、沖縄振興開発特別措置法によって、戦後米軍支配27年の沖縄の労苦に報いるための「償いの心」(山中貞則、1971年国会答弁)をもって、振興の遅れを取り戻し日本本土との「格差是正」を早急に実現するために、制度化されたものです。基地の見返りあるいは引き換えにこの予算が作られたという文言は、国会答弁の中にも法律の中にもありません。

 統一性や全体的な整合性を重視する日本の中央地方関係の中で、特定地域だけに特別に大きな国からの補助金や投資など特別措置を行う、制度化することは原則できません。

 全体の金額からすれば非常に小さい例外ですが、離島や過疎地域に関しては、公共事業に関して、財力不足を補い支援する意味で、国から自治体への補助率を高めに設定していることもあります。ほとんどが過疎地域となっている県では、ほとんどの地域で高率補助が適用されることになります。また小笠原諸島や奄美諸島においても高率補助を柱とする振興法があります。沖縄県の場合は、沖縄県全体がこのような高補助率事業の対象地域とされています。これは、法律によれば、基地の見返りとして対象地域とされているのではなく、離島県であることや振興が遅れたことによる特殊事情への配慮として対象地域とされていることになっています。(島袋)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/6-3_31.html

6-2 沖縄は貧乏県だから、生きるためには基地も必要だろう。 ???

 2012年に驚くべきニュースが報じられました。「県民所得、平均279万円 沖縄が最下位脱出 09年度」(日本経済新聞)。沖縄はそれまで連続20年最下位でしたが、09年度はその座を高知県に譲りました。沖縄が204万円で高知が201万円。わずかな差です。次の年には再び沖縄が指定席の最下位に戻りますが、それは人口が増えたため平均をとる分母が増えたからだといわれています。下位のランキングは、41位の鹿児島220万、次いで鳥取219万、熊本218万、宮崎206万と続き、その下が沖縄、高知です。いつも最下位だから他県と大きな開きがあるという思い込みがあるかもしれません。

 2014年の申告納税額で沖縄のランキングは全国22位でした。総所得5,091億円(33位)は国からもらう予算の1.5倍です。貧乏県は補助金漬けという印象は間違いで、沖縄もけっこう奮闘しているのです。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/6-2_31.html

6-1 沖縄の経済は、基地に依存している。 ???

 沖縄県の統計によると、県民総所得に占めるいわゆる米軍基地経済(軍関係受取)の割合は、復帰の年1972年の15.5%から15年ほどで5%程度に減りました。この数字はその後も5%前後で推移してきましたが、これは観光収入の約半分で、県経済に与える影響は小さいと言えます。

 軍関係受取は、米軍関係者の個人消費、基地内で働く従業員の給与、軍用地料です。これらがもたらす波及効果の全容をつかむのは難しく、基地経済を正確に測った統計は見当たりません。いずれにせよ、基地がなくなればこの所得はなくなりますから、無視できない存在であることは確かでしょう。その分基地に依存しない経済を工夫していく必要があります。

 軍関係受取とは別に、住宅防音工事や漁業補償など防衛省予算も基地経済に加えるべきだ、との指摘もあります。これを加えると観光産業に匹敵する数字に膨らみます。これは、騒音対策や補償など経費も収益とみなし、基地経済の波及効果を大きく見積もろうとする議論ともいえます。忘れていけないのは駐留軍経費がすべて私たちの税金であり、米側には日本に対する負担増加要求が潜在していることです。

 一方、返還された基地が空き地になり、そこでは何の経済活動も行われないという訳ではありません。アメリカン・ビレッジやおもろまちの例を挙げて、返還前と返還後で雇用や税収などの経済的プラスが何十倍にもなるとの試算も示されています。雇用は確実に増えますが、返還跡地利用が全てショッピングモールになるわけではありませんから、これは「しっかり工夫すれば現状維持かそれ以上」ぐらいの話としておきましょう。

 とは言え、基地返還跡地が地元経済のプラスになった例は米本国でもたくさんあります。要は、私たちのジンブン(知恵)を総動員して素敵な空間を創り出そうという事です。(星野・屋良)

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(修正 2016/05/12)

5-9 中国は南沙諸島で勝手に人工島を建設している。中国はいつか沖縄へも触手を伸ばしてくる。米軍の抑止力が不可欠だ。 ???

 中国による南沙諸島での人工島建設の報道を聞いて、あたかも南沙諸島全域か大半を中国が武力で手中に収めたかのように思っている人も多いようですが、現在、実効支配している島や礁の数はベトナムが一番多く20以上、フィリピンが9、中国が7、マレーシアが5以上、台湾が1という現状です。中国の人工島建設は、2002年の時点で中国が既に実効支配していた所を埋めたてて広げているだけで、中国もぎりぎり行動宣言の枠内に踏みとどまっているといえるのです。南沙諸島の領有権紛争の歴史と現状を考えると、紛争回避に最も効果を発揮してきたのは、南シナ海行動宣言を中国にのませたASEANのような外交努力であり、米軍基地の存在による「抑止力」ではないことが分かります。そもそも米軍は同盟国であっても他国との領有権紛争には積極的にかかわろうとはしません。(石山)

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5-8 中国は覇権国家だ。今後も海洋進出を止めないだろうから、沖縄の米軍基地は野心を阻むため必要だ。 ???

 もともと中国は、南沙諸島の実効支配でフィリピンやベトナムに大きく出遅れていたのです。文化大革命などの内政混乱が落ち着き、中国がようやくこの海域に目を向けたとき、もう未占有の「島」といえるような場所は残っていませんでした。パグアサ島、太平島など地下から真水が出るような相対的に大きな島はそれぞれフィリピン、台湾にとっくに取られていました。出遅れた焦りもあったのか、中国は1988年にベトナムと「南沙諸島海戦」と呼ばれる軍事衝突を起こし、岩礁をいくつかベトナムから奪いましたが、それらも満潮の時には海面下に沈む「島」とは呼べないような場所でした。しかし、2002年に東南アジア諸国連合(ASEAN)と「南シナ海行動宣言」で合意してからの中国は、他国・地域が実効支配する島や礁を奪って建造物を構築するようなことは控えています。行動宣言は領有権問題の平和解決、実効支配拡大の自粛などをうたったものでした。(石山)

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5-7 米中は戦争しようとしている。 ???

 アメリカと日本の学者の中では、経済力の増大が軍事力の増大を生み、それが軍事的覇権争いを不可避にするという「リアリズム」の見方が影響力を増しています。中国経済が拡大し、早ければ2025年にはアメリカの規模を追い抜くという予測もあります。そうなれば、世界第一位の規模の経済を持つ中国は、それに見合った軍事力を持つようになり、東アジアからアメリカの影響力を排除しようとする、アメリカはそれを拒む、そこで、米中戦争が不可避になるという見方です。

 しかし、中国の経済発展は、大きな部分をアメリカからの投資とアメリカへの輸出で可能になりました。もし、アメリカと戦争を起こせば、中国は自ら経済を崩壊させる選択をすることになります(#3-③参照)。中国がアメリカへの輸出に依存しない内需主導型の経済発展に転換するのが、いかに困難かは、日本経済が、バブルの時代以来、結局それを実現できなかったことからも明らかです。また、中国の経済成長率は低下していくことが見込まれるようになりました。先進国になりきれないいわゆる「中進国の罠」に陥りつつあります。

 現在、アメリカの軍事力は中国を圧倒しています。例えば、国際的な軍事研究機関・ストックホルム国際平和研究所の報告では、2014年の世界全体の軍事費の34%をアメリカ合衆国が占めていて、次いで多い中国は12%とその半分以下です。中国がアメリカと正面から戦争する可能性は極めて低い状況です。また、アメリカも中国との戦争は、経済相互依存の状況で、自らへの打撃が甚大になるから、避けようとします。米中は、一触即発の軍事緊張状態にあるのではありません。(佐藤・星野)

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5-6 琉球王国の王府は、中国伝来の人々が支配していた。その子孫たちは今でも沖縄の有力者で中国に取り入ろうとしている。 ???

 1372年最初の朝貢を行った中山王察度以来、那覇の久米村に、多くの中国人が滞在し次第に琉球王国の防衛と外交に関わるようになります。琉球国王は、国王の臣下としての忠誠と引き換えに琉球士族として身分と琉球名を与え、彼らは琉球王国の支配体制の一部を担うようになります。しかし、琉球王国のもっとも有力な支配層は、琉球の島々で力を蓄え王国を築いてきた王族出身、大按司(うふあじ)等からなる5大名門の一族でした。たとえば王府の最高位である「三司官」に、久米村出身士族は、原則として就任できる身分ではありませんでした。久米村出身者は、多くが琉球人留学生と北京に赴き、帰国後は琉球の貿易・外交に従事します。彼らが琉球王国を支配し、中国に琉球を差し出そうしていたという歴史的事実はなく、朝貢貿易体制を続けることが琉球王国の独立を維持する外交上の存立基盤でありかつ経済的な基盤であり、そこに貢献しました。

 朝貢国とは、国王が形式的に中国皇帝に対して臣下の礼をとる(冊封を受けるといいます)ものの、一切内政に干渉されることはなく、その独立を保障された国のことです(日本では足利義満の室町幕府時代に冊封を受けたことがあり、そういう形式をとっていました)。琉球・沖縄が中国の実質的な支配下にあったことは歴史上一度もなく、琉球の独立性の維持に貢献したのが久米村の士族という評価ができます。その子孫が沖縄を中国に差し出す、というのは自らの歴史の否定にほかならず、できることでありません。(島袋)

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5-5 沖縄の人は中国系だから中国を引き入れようとしている。 ???

 斎藤成也国立遺伝学研究所教授らの『日本列島3人類集団の遺伝的近縁生』(2012年11月)では以下のような発表をしています(https://www.soken.ac.jp/news/5276/)。「ヒトゲノム中のSNP(単一塩基多型)を示す100万塩基サイトを一挙に調べることができるシステムを用いて、アイヌ人36個体分、琉球人35個体分を含む日本列島人のDNA分析を行った。その結果、アイヌ人からみると琉球人が遺伝的にもっとも近縁であり、両者の中間に位置する本土人は、琉球人に次いでアイヌ人に近いことが示された。一方、本土人は集団としては韓国人と同じクラスターに属することも分かった。(中略)現代日本列島には旧石器時代から日本列島に住む縄文人の系統と弥生系渡来人の系統が共存するという、二重構造説を強く支持する」

 つまり、遺伝子の要素を解析する限り、日本列島に住むアイヌ人、琉球・沖縄人、日本本土人は、縄文人の系統と弥生系渡来人の系統の混血ということです。縄文人の遺伝子をもっとも多く引き継ぐのがアイヌ人で、次に琉球・沖縄人、そしてその次が日本本土人だということです。いずれにせよ、縄文人と大陸からの弥生系渡来人との混血の要素があり、三者は近縁関係ということです。(島袋)

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5-4 翁長知事は中国からお金を貰っている。 ???

 日本の政治家や政党には、政治資金規正法というものが適用され、金銭の授受に関して公開が義務付けられており、不正や違法が明らかになった場合には、政治生命を失うほど厳しいものとなっています。政治資金規正法において、外国人及び外国法人からの政治活動に関する寄附は、禁止されています。公開された政治資金情報から、外国人及び外国法人からの寄附を探し出すことは難しくありませんが、翁長知事の政治資金情報の中にそうした寄附は発見されていません。(参照:総務省政治資金規正法のあらまし。http://www.soumu.go.jp/main_content/000174716.pdf)(島袋)

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5-3 中国が尖閣諸島を狙っており、沖縄の米軍が守ってくれている。 ???

 「尖閣諸島が日米安全保障条約第6条での米軍への提供施設だから、米軍は尖閣を守る義務がある」と日本では宣伝されています。この前提は、何重にも無理・無知が前提となっています。

 まず、安保6条で提供されているのは、「尖閣諸島」でも、尖閣最大の魚釣島でもありません。具体的な提供施設一覧である、「日米合同会議議事録1972年5月15日」には、尖閣諸島の中の「黄尾嶼」「赤尾嶼」が射爆場として載っています。これらは、日本名が久場島、大正島ですが、議事録には中国名(正確には琉球の名称)で掲載されています。ですから、この二島以外を中国が占拠しても、日米安保とは関係無いと言うことです。さらに、米政府の尖閣領有権への立場は、1952年サンフランシスコ平和条約から、現在に至るまで、一貫して「中立」です。以上から、アメリカがこれらの島のために中国と戦争してくれると期待するのは無理です。アメリカは戦争しない理屈なら幾らでも作れます。

 さらに、2015年4月に、「日米防衛協力のための指針」が改定されましたが、そこで、島嶼を含む陸上の防衛は、自衛隊が一義的な責任を負い(=真っ先に)、米軍の役割は、支援と補完であると明記されています。支援と補完には、真っ先に戦闘に行くという意味はありません。(#③‐①参照)(佐藤)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/5-3.html

5-2 沖縄に米軍がいなくなると、中国の脅威にさらされる。 ???

 今、沖縄が反対しているのは、海兵隊普天間航空基地の代替新基地を辺野古に造るという計画に対してです。普天間が閉鎖・返還されて、辺野古に新基地が造られなくとも、米空軍嘉手納基地は存続します。中国は、海兵隊が即応戦闘部隊ではないことは承知していますから、海兵隊が沖縄にいるかどうかは、中国の軍事戦略にほとんど影響ありません。中国が軍事的に恐れるのは嘉手納で、嘉手納は当面残ります。(#3‐①参照)(佐藤)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/5-2.html

5-1 米軍がフィリピンから撤退すると中国が南沙を占領したように、沖縄に米軍がいなくなると、中国はただちに尖閣を占領する。 ???

 まず、少なくとも南沙諸島全域を中国に「奪われた」事実はありません。米軍がフィリピンから撤退し、すべての米軍基地がなくなったのは1992年ですが、その時点でフィリピンが実効支配していた南沙諸島の島は今もフィリピンの実効支配下にあります。95年に中国が、南沙諸島海域で、まだどこの国・地域も実効支配していなかったミスチーフ礁(中国名・美済礁)を、新たに実効支配したのは事実ですが、フィリピンが支配していた島や礁を武力で奪ったわけではありません。フィリピンはこの中国の動きに対抗して、99年にはセカンドトーマス礁(フィリピン名・アユギン礁)に廃船を座礁させ、新たに実効支配しています。この礁も、どの国・地域も実効支配していなかった場所でしたが、最後に実効支配を広げたのは実はフィリピンなのです。(石山)

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4-3 「北朝鮮」の脅威に備えるためにも基地が必要。 ???

 朝鮮半島有事で米軍はどれほどの軍事力を投入するかご存知ですか。2003年版の韓国防衛白書には米兵力69万人が来援すると書いてあります。内訳は海軍の5個空母艦隊を含む計160隻、陸軍2個軍団、空軍は計1,600機(32航空団)。海兵隊は2個遠征軍なので、そのうちの約9万人です。90日をかけて米本国から大挙押し寄せてきます。この作戦計画は近年見直されたと報じられており、特殊作戦を中心にした対応に切り替えられたとされます。沖縄の海兵隊は今後、実戦では紛争地に取り残された米国籍の市民を救出する作戦を担うことが想定されます。現在沖縄駐留の海兵隊はわずか1万8,000人で、米軍再編の削減で向こう10年内に1万人ほどになります。いずれにせよ有事には米本国から主力が投入されるわけです。沖縄の平時の前方展開と有事体制はまったく次元が異なります。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/4-3.html

4-2 沖縄から基地がなくなれば尖閣を諦めなくてはいけない。 ???

 沖縄からどの基地がなくなるかをすっ飛ばしてこうしたことを言っても意味がありません。まず、「すべての基地をなくせ」が沖縄県民の総意ではありません。また、普天間を閉鎖・返還しても、嘉手納をはじめ在日米軍基地の70%以上が沖縄に存在し続けます(#5-②参照)。そもそも、辺野古に基地を造らなくとも、米海兵隊は尖閣に戦闘に行きませんから、関係ありません(#4-①参照)

 もし、自衛隊で尖閣を「守る」戦争をするという前提に立ったら、どのようなことが起きるか。尖閣が武力攻撃を受けると、国民保護法に従って、石垣市と宮古島市周辺の島嶼自治体の住民は避難させなければなりません。この地域の人口は10万人以上です。戦闘への自衛隊輸送をしつつ、同時に10万人をどうやって、どこに避難させるのでしょうか。現在、自衛隊の「南西シフト」により、自衛艦の不足が懸念され、民間船舶・船員を一時的に使うことが計画されています。その状況で、船や飛行機で10万人を避難させることは不可能です。

 また、尖閣で戦争になれば、即座に沖縄県への観光客はいなくなります。沖縄経済の1割が消滅します。更に紛争地域になれば、県民が消費する食糧・燃料・貨物を運ぶ貨物船も来なくなるか、保険料が高騰し、県民生活が成り立たなくなります。

 日本国民は、沖縄だけが被害を受けると考えるでしょうが、日本が中国と戦争をすれば、日本経済はもちません。株価は暴落し、日本の製造業も成り立たなくなります。中国人爆買い観光客がいなくなるどころでは済まないのです。日本経済が崩壊します。最後は戦争だ、というような気分が広がることが、このような危機に導くのです。(佐藤)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/4-2.html

4-1 尖閣有事の際は、在沖海兵隊がただちに出動してくれる。 ???

 島嶼防衛の一義的な責任は自衛隊が担う、米軍は支援と補完をする、と「日米防衛協力のための指針」で決められています。アメリカは、尖閣が日中どちらに帰属するかには中立という立場で一貫しています。(#5-③参照)

 沖縄から海兵隊が戦地に向かうには、米海軍佐世保基地配属の強襲揚陸艦(ヘリ空母)ボノム・リシャールに、オスプレイと地上戦闘部隊を搭載します。佐世保から沖縄までは直線距離で800kmあり、船を持ってくるのに丸一日かかります。ただちに出動できません。(#3‐⑧参照)

 航続距離が長く、飛行速度が高いオスプレイが尖閣まで一飛びと信じ込まされている人が多いでしょうが、機体がヤワなオスプレイは、戦火が飛び交う戦場では使えません(#2-①参照)。南スーダン反政府ゲリラの銃に撃たれたら逃げる輸送機が、中国軍に対して何ができるのでしょうか。このことは、アメリカ議会の2011年調査報告書の中に、「イラクで、オスプレイは脅威が小さい戦場で効果的に使われた」とあることからも自明です。

 そもそも、尖閣の小島に海兵隊を運んでも、中国海軍の艦砲射撃の餌食になるだけです。海兵隊が尖閣に直行することはありえません。(佐藤)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/4-1.html

3-8 アメリカはその地理的重要性から沖縄を重視しており、沖縄に米軍基地をおかなければ戦略が成り立たないと考えている。 ???

 米国は沖縄にこだわっていません。60〜70年代に海兵隊を沖縄からカリフォルニアへ完全に撤退させることを検討していたことがわかっています。それを引き止めたのは日本政府でした。

 そもそも海兵隊は朝鮮戦争をきっかけに岐阜県や山梨、静岡県などに配備されました。朝鮮半島の情勢が休戦協定によって落ち着くと、海兵隊は台湾海峡や東南アジア情勢に備えるといった理由で沖縄に移転してきました。ところが海兵隊を運ぶ船や輸送機は沖縄にはありません。

 沖縄の基地集中は軍事的な合理性よりも、当時本土で反基地運動が高まったという政治的な理由が大きかったのです。長崎県佐世保に海軍艦船が配備されたのは1993年になってからで、それさえわずか2,000人の隊員を乗せる輸送力しかありません。基地をどこへ置くかというのは軍事合理性ではなく、政治的な理由です。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/3-8.html

3-7 安全保障環境が厳しくなっている。だから沖縄の米軍基地は必要だ。 ???

 安全保障は英語でSecurity。ラテン語のSe (without) とCura (care) の合成です。ケアーすることがない、つまり心配事がない状態を意味します。一般的に日本では仮想敵との軍事対立に備えることが安全保障だと考えれられていますが、それは「国防」です。安全保障を確立するには、敵をなくすこと、敵対国であっても関係改善を図っていくことが大事です。万が一に備える国防と安全保障は重なる部分があるにせよ、決してイコールではありません。

 防衛大学の教科書「安全保障学入門」。目次をみると、第1章「安全保障の概念」の第1項は「普遍的概念の欠如」とあります。安保を語る人の世界観や価値観によって考え方が千差万別で、万人が受け入れる解釈は存在しないということです。

 在沖米軍最大の海兵隊は中国軍を含めた多国間共同訓練を定期的に実施しています。災害救援、人道支援活動の国際協力関係を構築しようと米中ともに積極的に取り組んでいます。これが安全保障です。日本人の安保観はおかしくないですか。(屋良)

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3-6 米海兵隊は中国から日本を守ってくれている。 ???

 沖縄の海兵隊は、常に沖縄にいて日本を守っているのではありません。彼等の任務は、同盟国との合同演習に出て、同盟維持の政治的なアピールをすることと、人道支援・災害救助に出て、アメリカのイメージを高めることが主となっています。

 辺野古を建設すべきとする軍事専門家の中には、海兵隊の役割は、中国が台湾に侵攻したら、オスプレイで直行して撃ち落とされることで、アメリカ空軍海軍を本格参戦に引き込む囮という主張をする人や、フィリピンが中国と紛争を始めた時に駆け付けるためと主張する人もいます。尖閣を守るため、奪回するために海兵隊が沖縄にいる、と主張するプロの軍事専門家はいません。

 海兵隊が沖縄にいることは、日米同盟の安定を示す政治的アピールのためという意見もあります。それならば、辺野古にかかる1兆円で、もっとましな貢物がいくらでも考えられます。「辺野古が唯一」に自縄自縛されているから、軍事的意味の無い海兵隊に空想としか言いようのない非現実的な期待を寄せることになります。(佐藤)

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3-5 沖縄は地理的にいい位置にあるから米軍が集中する。 ???

 軍事のみならず経済的にもなにかと便利な位置なのでしょう。「地理的にいい場所」とは誰にとって、何のためにーという具体的な中身を考える必要があります。「いい場所」とはアジアの主要都市から均等な距離で中心的な位置にあることを意味しているのでしょう。地図を前に誰もが「いい場所ですねぇ」とうなずくでしょう。

 でもそれは単に地図の見方に過ぎません。沖縄の基地の7割は海兵隊の専用施設です。海兵隊は長崎県佐世保にある海軍の艦船に乗って動きます。消防に例えると、消防隊員は沖縄で待機し、消防車は佐世保に置いている状態です。この分散配置を頭にインプットしてもう一度地図を見てください。戦争となれば空軍の大型輸送機も海兵隊輸送に使いますが、それも沖縄にはなく、米本国から飛んでくるのを待つしかありません。

 政府は、沖縄は台湾海峡と北朝鮮を同時に睨むことができる、と主張します。距離を測ると海兵隊を運ぶ船がある長崎県佐世保や佐賀県の方が距離的には沖縄より有利な位置にあります。九州はどこも距離的には同じです。(屋良)



この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/3-5.html

3-4 辺野古新基地建設は、日本政府ではなく米国の強い要望である。 ???

 日米安保条約は日本が米軍の駐留を望み、基地を提供するとし、米国は日本の防衛義務とアジア太平洋地域の平和のために駐留することになっています。日本は受け入れ国、米国は派遣国です。受け入れ国は国内事情に基づき提供する基地の配置を決めます。沖縄県知事がワシントンを訪ね、基地問題を訴えるとき、米側からは「日本の国内問題だから東京へ行くべきだ」と返されます。

 普天間返還交渉時に在日米大使だったウォルター・モンデール氏(元副大統領)は琉球新報のインタビューで、普天間の移設先について「われわれは沖縄とは言っていない」と述べた上で、「基地をどこに配置するのかを決めるのは日本政府でなければならない」と語りました(2015年11月9日付)

 辺野古埋め立てをめぐり、政府が沖縄県を訴えた代執行訴訟は、2016年3月に和解が成立しました。福岡高等裁判所の和解勧告は「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである。そうなれば米国も大幅な改革を含めて積極的に協力する契機となりうる」と書きました。これが常識的な見識であり、現状を根本から見直すよう求める勧告です。(屋良)

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3-3 米国は、日本を守るためには、中国との武力衝突も辞さない。 ???

 日本政府は、中国との軍事衝突がある時に、本当にアメリカが日本に加担して戦争してくれるかが不安でなりません。とりわけ尖閣をめぐっての紛争だと、引いてしまうのではないかと懸念しています。米中直接戦争となれば、大戦争になります。そのような戦争を起こし、継続するためには、アメリカでも国民の支持が必要です。兵士の犠牲が出るだけでなく、大規模な戦争には巨額の予算がかかり、アメリカ国民の生活を圧迫します。アフガン・イラク戦争後に、アメリカ政府は財政破綻寸前に至り、また、「リーマンショック」で経済自体が崩壊するところでした。

 そのようなアメリカが、自らへの打撃を覚悟して、国民生活に大打撃を与えるような戦争をするには、特別な理由が必要で、日本の施政権下にあるとはいえ、アメリカが日本に帰属すると決めていない小島をめぐるいざこざで、直接介入する可能性は極めて低いと考えるべきです。

 2014年の統計で、アメリカは中国の輸出市場の16.9%を占め、中国にとっては世界最大の輸出先です。逆に、アメリカの輸出市場で中国は7.6%に過ぎず、これはEU、カナダ、メキシコ等の半分以下の比率です。つまり、中国はアメリカ市場が無ければ経済が成り立たないということです。戦争になれば、アメリカは中国製品の禁輸措置を採ります。

 他方、アメリカ政府の国債発行総額のうち、外国保有分が60%、中国保有分がその20%です。つまり、中国はアメリカ国債の12%、8分の1を持っています。これを市場で叩き売りすれば、アメリカ政府は財政破綻します。

 つまり、アメリカと中国は、経済的に依存関係が強く、戦争になれば、それが一気に止まりますから、両方の経済が崩壊します。世界第一位と第二位の経済がそのような状態になれば、世界大恐慌です。尖閣にそのような価値があると考えるアメリカ国民がどれだけいるでしょうか。(佐藤)

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3-2 辺野古反対は、米国の信頼を失い日米同盟をつぶす。 ???

 辺野古反対が日米同盟にどのような影響を与えるかを判断する上で、まず重要なのは、海兵隊が辺野古新基地を持たないことで米軍の軍事戦略に大きな影響はない、ということです。それは、海兵隊が対中国、対北朝鮮という、東アジアの潜在的紛争で、重要な役割、即応戦闘機能を担わないからです。海兵隊は、米国の軍事戦略全体から見れば、沖縄にいる必要性はありません。

 一方、政治的な影響は、考えるべきでしょう。沖縄の強い反対を押し潰して建設を強行した辺野古は、絶えず政治的リスクを負う、不安定な存在になります。また、沖縄県民の反米軍基地感情が、米軍にとり、当面重要である嘉手納に向かうことは、日米安保の安定的な運用に悪影響を与えることになります。

 海兵隊に対して、辺野古を造り、オスプレイを買い、米海兵隊に陸自水陸機動団の家庭教師のビジネスを与えて、米政府の歓心を買うことが、今の日本政府の安全保障政策の中心になっています。これにより、尖閣の紛争に米軍を引き込む担保としたつもりになっていますが、その期待自体が、米国の意向と相反するもので、究極的に日米関係を損なうことになります。

 辺野古の建設には1兆円かかると見られています。また陸自が購入を決めたオスプレイ17機に3,600億円という巨額の予算を費やします。この金は、福祉や教育に使うべき財源から取られるだけでなく、「本当に」尖閣を「守る」ための手段を減らして、巨額の的外れな税金の無駄遣いをすることになります。辺野古推進こそが、日米安保を損ないます。(佐藤)

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3-1 基地をなくしてどうやって沖縄を守れるのか。基地をなくす方が人権問題である。 ???

 普天間飛行場は沖縄の基地面積のわずか2%でしかありません。普天間を使う海兵隊がいなくなっても、極東最大といわれる嘉手納飛行場が残ります。嘉手納基地だけでも米軍プレゼンスは十分です。(#4‐②参照)

 そもそも沖縄の防衛義務は自衛隊が担っています。1970年、日米が交わした「日本国による沖縄局地防衛責務の引き受けに関する取極」、いわゆる久保・カーチス協定でそう規定しています。陸自、空自ともミサイル防衛部隊を沖縄に配置し、不審機へのスクランブルも航空自衛隊の任務です。尖閣諸島の防衛も一義的には日本側の責務とされています。
沖縄の海兵隊は海軍の船でアジア太平洋地域を巡回し、留守が多いのです。在沖海兵隊の主要任務は沖縄の防衛ではありません。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/3-1.html

2-4 沖縄の海兵隊は対中国、対北朝鮮への抑止力として重要な存在だ。 ???

 「中国や北朝鮮は何をするか分からないので沖縄の米軍基地は必要だ」との考えは抑止力の基本を無視しています。何をやるか分からない相手に抑止は効きません。泣きじゃくる赤子はいくらあやしても泣き止まないように、抑止を効かそうとする相手に合理的な判断力がなければ抑止効果は望めません。相手の判断力に依拠する抑止論はそもそもあいまいな概念です。抑止を語るときには、相手のどのような行為を、どの手法で制するか明確にしなくてはなりません。尖閣防衛について米軍の準機関紙「星条旗」は、安倍晋三氏が首相に就任したとき、「岩をめぐる中国との撃ち合いに俺たちを巻き込むな」という記事を掲載しました(2013年2月3日付)。相手の判断力に依拠する抑止論がそもそも曖昧な概念である上、米国の尖閣防衛さえも根拠が希薄です。対中国、対北朝鮮への抑止力という概念も同様です。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/2-4.html

2-3 海兵隊は殴り込み部隊だから沖縄に駐留させる必要がある。 ???

 「殴り込み」は遠い過去の記憶です。海兵隊の実態はそんな強烈キャラではありません。1950年の朝鮮戦争で有名な仁川上陸作戦に成功したのが「殴り込み」の最後の「勇姿」なのです。海兵隊は米軍総兵力130万人の中で最小の18万人(2016年1月31日現在、米国防総省統計)。沖縄には1万8,000人しかいません。組織的には海軍の下部部隊で、予算も海軍から分配されます。世界は陸海空しかないので、海兵隊が活躍する場所は海から陸に上がる限定的な領域です。自らを両生類部隊と呼びます。アメリカの独立戦争では海軍の船に乗り、敵艦船との接近戦でマストから弾込め式銃で狙撃し、あるいは夜陰に紛れて手漕ぎボートで敵陣に潜入し武器庫や食料庫に火を放つ奇襲を得意としました。そこから強襲上陸をする「殴り込み部隊」と言われるようになりました。ただ仁川上陸以降の冷戦期にはほとんど出番がなく、不要論、解体論が付きまといます。「だから沖縄」はこじつけです。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/2-3.html

2-2 空陸一体の部隊で分散配置できないので、沖縄に基地をまとめて置いておくしかない。 ???

 森本敏元防衛大臣は記者会見(2012年12月)で、「海兵隊は1万人ほどまとめてMAGTFの機能を維持すれば、日本の西半分ならどこでもいい。軍事的にはそうなる」と証言しました。MAGTFは海兵空陸機動展開部隊のことで、地上部隊と航空部隊の統合チームのことです。この意味は「空陸一体なので分散できない」のだが、空陸の機能をセットにして日本本土へ移転することは可能だということです。鳩山由起夫元首相が「普天間は最低でも県外」と主張してつまずいたのは、海兵隊の機能を知らなかったためです。すべて空陸部隊セットで移転すればいい、という単純なことなのです。一般に西日本の境目では、例えばNTTであれば富山、岐阜、愛知、静岡です。実に広い範囲で海兵隊は移転可能なのです。森本元大臣は会見で、セット移転ができないのは「政治的な理由」だと説明しました。端的に言えば、米軍が「おらが村」にやってくることをみんな嫌がっているだけのことです。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/2-2.html

2-1 オスプレイは、高性能の新型機であり、欠陥機ではない。 ???

 米海兵隊MV-22オスプレイは、飛行速度時速560km、後続距離3,900kmの高性能垂直離着陸機であるとの宣伝がなされ、「尖閣へ直行・直帰」(例えば「時事ドットコム」)というような記事が書かれてきました。一方、オスプレイは、開発段階で墜落事故が相次ぎ、欠陥機という批判も広くなされてきました。

 オスプレイの本質的問題は、単なる輸送機として、1機200億円以上という超高額な機種であることと、日本が期待しているような尖閣での戦闘に直行するというような機能は持たないということです。

 米空軍はCV-22オスプレイを特殊部隊用に持っています。空軍は、2013年12月に南スーダン内戦で、反政府ゲリラ占領地域に残された米国人の救出に、オスプレイを飛ばしました。ところが南スーダン反政府ゲリラの手持ち機関銃AK-47に撃たれ、弾丸が機体を貫通し、米兵が重傷を負い、救出作戦を中断して逃げました。空軍はこの事件の後、オスプレイ機体の脆弱性に懲りて、機内に鉄板を内貼りする装甲強化を施しました。海兵隊オスプレイの役割は、地上戦闘部隊兵員を運ぶことであり、輸送兵員数を減らすことになるため、海兵隊はこの改造をしていません。つまり、沖縄にいるオスプレイは、弾丸が飛び交う戦場には行けないのです。

 この詳細は、ニューヨークタイムス記事検索で”South Sudan Osprey”と入れれば、南スーダン事件の第一報と続報、米国軍事産業ニュースサイトBreaking Defenseの記事検索”AFSOC Osprey Armor UP”で、空軍オスプレイ鉄板内貼りの写真も見られます。これらのことは、日本のメディアでは、ほとんど報道されてきませんでした。(佐藤)

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1-11 岡本行夫元首相補佐官発言「辺野古の海は砂地だけ。サンゴ礁も生物もいない」。 ???

 移設条件付きの普天間返還を日米両政府が計画したSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告は1996年12月。その前月の11月に、外務省OBだった岡本行夫氏は沖縄担当の首相補佐官(非常勤)に就任し、以後移設先とされた名護市や関係機関等との交渉・調整の最前線で活動することになりました。

 その岡本氏が2010年に米国ワシントンで開催された「日米安全保障セミナー」で、両政府当局者やOBらに対し「辺野古(の海)は砂地だけ。サンゴ礁も生物もいない」「(ジュゴンは)沖縄本島全体を周回し、たまに辺野古に立ち寄る」と発言しています。辺野古への基地建設問題の最初期に首相補佐官を務め活動した岡本氏が、1997年以降の政府調査でも判明している辺野古沿岸域の自然度の高さ(もちろんサンゴ礁や生物が存在する)や、建設計画範囲にジュゴンの餌場である海草藻場が広がっている事実を知らなかったとは考えられません。これは事実を意図的に歪め、矮小化する発言といえます。

 このような事実を歪める発言が、日米両政府の安全保障政策(つまり軍事政策)に関わる当局者間で事実認識として共有されているとしたらとても危険です。(宮城)

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1-10 沖縄には、面積で、日本の米軍基地の74%が集中しているというのは、負担を誇張するための数字の操作であり、自衛隊との共用施設の中では、23%でしかない。 ???

 沖縄県に、日本の米軍「専用施設・区域」の74%が集中していることは事実です。自衛隊との共用施設を含めた全ての米軍施設・区域の中では、沖縄の比率は22.5%になるのも事実です。

 ここで言う自衛隊と米軍の共用施設とは、公式には「一時使用施設・区域」(米軍が自衛隊施設を一定の期間を限って使う施設・区域)で、この全国での沖縄県での比率が22.5%です。

 しかし、一時使用施設とは、どのような場所でしょうか。広大な面積を占めるのは、北海道の別海矢臼別大演習場、千歳演習場、上富良野中演習場、本州の大和王城寺原大演習場、富士演習場、九州の日出生台演習場等の原野の演習場です。例えば別海矢臼別大演習場は、168.1平方キロの面積で、沖縄の嘉手納飛行場・弾薬庫地区合計面積の46.4平方キロの3倍以上の面積ですが、所在自治体である別海町・厚岸町の人口は合計2万人。一方、嘉手納所在自治体の沖縄市、嘉手納町、北谷町の合計人口は18万人です。別海矢臼別は、在沖海兵隊が年に一度一週間、野戦砲を撃つ演習に使うだけです。一方、嘉手納飛行場・弾薬庫地区の面積だけで、沖縄県外の米軍「基地」=兵器と兵員が配備されている=横田、三沢、厚木、岩国、横須賀、佐世保の「全ての」合計面積よりも大きいのです。

 また、在沖米軍は、沖縄への集中は40%でしかないという数字を最近宣伝しています。これはおそらく、専用施設・区域の中で、自衛隊が使用できることになっている共同使用施設・区域という範疇があり、それを差し引いた面積の沖縄での比率を計算しているのでしょう。しかし、共同使用施設・区域は、あくまでも「米軍基地」であり、防衛省統計でも、これは米軍専用施設・区域に含まれています。

 23%や40%という数字を出して沖縄に米軍基地は集中していないと主張することこそ、数字の詐術です。(参照:防衛省「在日米軍施設・区域別一覧」)。(佐藤)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/1-107423.html
(修正 2016/05/12)

1-9 アメリカが要求する通り、辺野古に基地を移転しないと普天間が返還できない。 ???

 辺野古に移転しなければならない、という条件は、日本政府が辺野古以外の選択肢を一つも真剣に検討していないから、アメリカも「辺野古だ」と言っているだけです。

 現在のアメリカ軍事戦略で役割が低減している海兵隊は、自分の政府から予算を確保するのが困難な状況にあるので、予算を引き出す源として日本を使っています。海兵隊専用の新基地を造らせ、自衛隊にオスプレイを買わせて、それを使った離島奪回作戦を教えるという新商売も可能にしています。

 辺野古の建設費は1兆円に上ると見られています。それだけの金があれば、他に米政府が受け容れる普天間の代替策は、数多く考えられます。日本国内に、地上戦闘部隊の訓練場も込みで移設する適地は何箇所もあります。国外ならば、飛行場と地上戦闘訓練場を造る土地など、 広大な米国本土には幾らでもあります。

 代替策を可能にするには、海兵隊が潜在的紛争地である尖閣諸島に近い沖縄に駐留しなければならない、という条件と、海兵隊の撤退が中国に対する誤ったシグナルを送ってはならない、という条件をクリアする必要があります。それについては、#2海兵隊・#3日米安保を参照して下さい。いずれも簡単に満たすことができます。(佐藤)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/1-9.html

1-8 辺野古に造る新基地は普天間の3分の1の面積に縮小される。 ???

 図は米軍が2011年に作った辺野古の利用計画図です。図中の日本語は筆者が書き入れました。普天間の面積が480ヘクタール、辺野古に造る新飛行場の全面積は205ヘクタール、米軍は辺野古ダム周辺に兵舎などを新設する計画です。キャンプ・シュワブと一体になって運用するのだから、300ヘクタールを越えますね。なぜ3分の1に?…比較する面積を公有水面埋立面積の160ヘクタール(図中の点線の海側)だけにしているからです。しかも「沖縄の宝であるサンゴの海」を埋め、「沖縄の声が届かない国の土地」になるのです。飛行場に加えて強襲揚陸艦ボノム・リシャール(全長257m)が接岸できる岸壁、ヘリやオスプレイに弾薬を積む「弾薬搭載エリア」が作られます。普天間にはない出撃機能が隠されているのです。(真喜志)



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1-7 辺野古に移設されれば、危険性は格段に減少する。 ???

 「危険性の除去」。辺野古埋め立てを正当化するときに政府が繰り返すフレーズです。住宅が多い普天間周辺で航空機が墜落したら犠牲者は多く、辺野古なら人口が少ない集落なので事故があっても犠牲者は少ないというだけの比較論にすぎません。普天間と辺野古は直線距離でたったの36キロです。ちなみに東京では新宿から八王子までの距離です。米ハワイ州の海兵隊はオスプレイの飛行訓練で海岸沿いの滑走路を使用する計画でしたが、そこから1.6キロの地点にカメハメハ大王の生誕地があり、同機の強力な下降気流が史跡に悪影響を及ぼすと住民が反発しました。米海兵隊はその滑走路の使用を断念しています。人家の上を飛ばざるを得ないので、普天間でも辺野古でもオスプレイの飛行は米国ではあり得ないことです。(屋良)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/1-7.html

1-6 基地は人権問題を引き起こしておらず、政治的な解決を図るべき問題である。 ???

 沖縄の基地問題の根源は、軍事占領地域において人々の所有権を保障したハーグ陸戦条約の違反にあります。米軍は、沖縄戦の最中、住民を強制収容している間に、地主の同意もなく土地を取り上げて基地建設を開始し、戦後もそのまま占領し続けました。これは国際法が違法としている重大な人権侵害です。

 日本の講和条約発効後は、米軍は借地料の支払いを開始します。しかし、借地料の支払いが、地主の意思を完全に無視し、所有権を侵害したという事実を正当化することはできません。さらにその後、米軍は伊江島や伊佐浜において住民に土地の権利はないとして、新たな土地の強制接収を開始しました。

 また、辺野古の基地については、米軍支配のもとに、軍を投入した強制接収か、形としては契約による提供かの二者択一を脅しのもとに、選択させられたものです。米軍による土地の接収以外の選択肢がない条件のもとに半ば強制的に基地を受け入れざるを得なかったということであり、強制もない状況で住民の自由な意思のもとに誘致したものではないのです。これも住民の土地の権利に対する侵害であり、その後、たとえ米軍が土地代を支払っていたことや、基地の門前町として利益があったことでは、土地の権利の侵害に基づく辺野古基地の建設を正当化できるものでありません。(『辺野古誌』631頁〜634頁)
人権侵害は、その代わりに経済的利益を与えることや、重要な軍事目的があるからという理由によって、許されるものでありません。(#1-③参照)(島袋)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/1-6.html

1-5 普天間基地は、人権の問題ではなく、政治の問題である。 ???

 米海兵隊普天間基地は、そもそも沖縄戦の最中、住民を収容所に強制収容している間に、米軍が地主の意思を完全に無視して無断で土地を強奪して建設した基地です。約1万人が自分の土地を追い出され、フェンスの外に張り付いて生活することを余儀なくされました。住民の土地の権利を無視したひどい迫害により建設された基地です。

 米海軍・海兵隊飛行場使用規定によると、滑走路の延長上には、施設の建設や利用の全面禁止区域である「クリアゾーン」を設定して、航空機からの騒音被害や墜落危険性を避けることになっています。しかし、普天間に本来設定されるべきクリアゾーンの中には、多数の学校、病院、民家が存在している状況です。

 そこで航空機を離着陸させることは、騒音のすさまじさとともに事故の危険性が極めて高く、生命の尊厳と自由に極めて深刻な影響があります。

 このような状況を放置しておくことは、生命の尊厳、生命の価値を認めていないに等しい暴挙であり、世界の航空法に照らして、飛行場として用いるべきではありません。それほど深刻な人権侵害であり人身への高度な危険性を持つものです。したがって、それを無視するよう日本の航空法を適用除外して、連日、航空機を発着させる普天間飛行場は、人権侵害そのものなのです。(#1-②参照)(島袋)

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1-4 辺野古に移設されれば、沖縄の基地負担は格段に軽減される。 ???

 在沖米軍基地の中で普天間飛行場の面積比はわずか2%です。それを辺野古へ移したところで沖縄が押し付けられている負担は変わりません。

 政府はこう説明しています。普天間を辺野古へ移転し、海兵隊18,000人のうち約9,000人をグアムやオーストラリアへ移転する。米空軍嘉手納飛行場よりも南にある海兵隊基地も大幅に整理統合するため、基地負担は格段に軽減される。確かに人口が集中する嘉手納以南から基地がなくなると景色は一変し、開発が進むでしょう。しかし「負担」をどう測るかです。

 沖縄の中だけで基地を動かしてみても、日本全国に占める米軍集中の割合は変わりません。引き続き訓練による騒音や事件事故の被害はなくならないでしょう。嘉手納飛行場では毎日環境基準を超える爆音が鳴り響いています。「普天間の危険除去だ。辺野古には絶滅危惧種のジュゴンが生息するが心配することはない。それが嫌なら普天間はそのままだ。反対するなら沖縄が代替案を出せ」。これが政府の負担軽減策です。(屋良)

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1-3 辺野古の基地:キャンプ・シュワブは、住民が誘致して建設された。 ???

 キャンプ・シュワブの建設が決まり、土地の接収が始まったのは、1956年11月です。その前年、伊江村・真謝区と現在の宜野湾市伊佐区などで、米軍は基地建設のための土地の強制収容を行っています。これは「銃剣とブルドーザー」と呼ばれる、人が住んでいる家を、強制的に住民を排除した上で、取り壊すという非道なやり方でなされました。また土地を二束三文の賠償金で取り上げるやり方に反対し、沖縄では、1956年7月に10万人以上が参加した抗議集会が開かれるなど、「島ぐるみ闘争」と呼ばれる運動が盛り上がっていました。

 辺野古区が、キャンプ・シュワブの建設を受け容れたことは事実ですし、それが「島ぐるみ闘争」を挫いたとも広く考えられています。

 しかし、積極的な誘致をした事実はありません。米軍施政下の沖縄には、日本国憲法も米国憲法も住民の人権を守る上で適用されていなかったことを忘れてはなりません。辺野古区編(当時の久志村)『辺野古誌』には、伊江島や伊佐浜の惨状から、反対しても止められない、ならば基地からより多くの恩恵を受けた方がまし、という判断がなされた事情が書かれています。

 インターネット上では「サンキ浄次元米陸軍中佐の手記」というものを根拠に、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンは誘致されたとする主張も見かけますが、その手記が実在するのかすら確認できません。また手記の内容とされる当時の旧久志村の議会や首長の米軍当局への基地誘致の陳情等は、確認できる米軍の公文書や、関連する歴史的事実、人々の証言とも矛盾しています。(佐藤・宮城)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/1-3.html

1-2 何もないところに普天間基地が建設され、住民が後から周りに住み始めた。 ???

 現在普天間基地が占めている場所は、沖縄戦で破壊されるまで、8,800人の住民がいる農村部でした。ここには、村役場、小学校、郵便局があり、砂糖キビ絞りの小屋や闘牛場、天然記念物の松並木もあり、当たり前の生活が営まれる場所でした。

 この時の写真は、字宜野湾郷友会編『写真集じのーんどぅーむら』に収められています。また、米軍が1945年沖縄戦前に撮影したこの地域の偵察航空写真が公開されており、それには、畑や家々がはっきり写っています。この一部は、宜野湾市教育委員会編『ぎのわんの地名 内陸部編 付録地図』に収録されています。

 また、現在でも普天間基地内には、当時の住民の墓地や拝所(祈りをささげる場所)が残されている場所があり、米軍は、沖縄で先祖を祭る日である清明祭や盆には、旧住民の基地内の墓参り等を許可しています。

 普天間飛行場は沖縄戦で上陸した米軍が「本土爆撃用」にそこにあった住宅、集落、学校、畑などを敷きならして勝手につくった飛行場です。戦火を避けて住民が避難していた(あるいは米軍の捕虜になって収容所にいた)間のことです。



 写真は、1945年6月、米軍による普天間基地造成中の写真で沖縄県公文書館が所蔵しています。戦前の普天間主要道路の松並木がはっきりとわかります。住民は戦後、自分の土地に戻れず、普天間基地の周辺に住まざるをえなかったのです。今も、3,000人以上の地主に普天間の地料が毎年払われているのが、人が住んでいた何よりも明瞭な証拠です。インターネット上にある、「何も無かった」証拠の航空写真は、飛行場の造成工事中に撮ったものだから「何も無い」のです。(佐藤・真喜志)

この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/1-2.html

1-1 辺野古基地は、普天間の代替施設であり、「新基地建設」ではない。 ???

 名護市辺野古の米海兵隊キャンプ・シュワブ陸上と、そこから突き出した埋め立て地に建設予定の、普天間航空基地の代替施設は、
・滑走路を2本持つ
・海軍強襲揚陸艦(ヘリ空母)を横付け出来る岸壁を持つ
・弾薬搭載エリアを持つ
等、普天間には無い機能を持った全く別な基地です。

そもそも、普天間閉鎖・返還が合意された直後に、米軍との交渉に当たった元国土事務次官・下河辺淳氏は、米軍の最初の代替施設要求は、シュワブ陸上に長さ30m〜50mのヘリコプター着地帯だけだったと証言しています。だから、辺野古現行案は普天間の代替施設ではなく、新基地建設なのです。

海兵隊は普天間移設に便乗して、新たな基地を造らせようとしているのです。(佐藤)


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2016年3月30日水曜日

ちょっとした索引


・普天間基地の成り立ち「何も無かった土地だった」──8㌻(#1‐②)

・辺野古に普天間を移せば負担軽減される──11(#1‐④)13(#1‐⑦)14㌻(#1‐⑧)

・在沖米軍基地の比率は23%で74%集中というのは嘘──16㌻(#1‐⑩)

・海兵隊が凄い新兵器オスプレイで尖閣に戦争に行ってくれる──18㌻(#2‐①)20㌻(#2‐④)28㌻(#4‐①)29㌻(#4‐②)

・普天間を閉じて辺野古を造らないと中国が攻めてくる──21㌻(#3-①)22㌻(#3-③)27㌻(#3-⑧)31㌻(#5‐②)

・米軍がいないと中国が尖閣を獲る──31㌻(#5‐①)32㌻(#5‐③)36㌻(#5‐⑧)37㌻(#5‐⑨)

・アメリカは中国と戦争するつもりだ──22㌻(#3‐③)26㌻(#3‐⑦)35㌻(#5-⑦)

・沖縄の経済は基地に依存している──38㌻(#6‐①)

・沖縄は基地と引き換えで特別な振興予算を受け取っている──39㌻(#6‐③)40㌻(#6‐④)

・基地がなくなったら従業員の雇用がなくなって困る──41㌻(#6‐⑤)

・米兵による事件は被害が誇張されている      ──43㌻(#7‐③)

・政府が言う「辺野古が唯一の解決策」ってほんと?──15㌻(#1‐⑨)19㌻(#2‐②)19㌻(#2‐③)20㌻(#2‐④)24㌻(#3‐④)24㌻(#3‐⑤)25㌻(#3‐⑥)

このサイトの使い方

以下の「この小冊子の使い方」を前提に、このサイトの使い方を紹介します。

① 全体を知るには「もくじ」を眺めるのが良いでしょう。さーっと見て、見たこと、聞いたことがある「話」があったら、そのリンクをクリックして、反証を読んでみて下さい。「本当のこと」の根拠を、出来る限り挙げてありますから、この小冊子が主張していることが信じられなかったら、根拠を自分で確認してみて下さい。
② インターネットで、おやっ?と思うような「話」を読んで、「いやいや、それは違うでしょ」と思った時に、この小冊子の中で検証されているかどうか知りたかったら、
 (ア)「もくじ」のページでページ内を検索してみて下さい。すでに反証が準備されているかもしれません。
 (イ)左上のBloggerの検索窓に、例えば「海兵隊」のように入力して、このブログ内を検索してみて下さい。関連の高い記事が選ばれて並びます。上からタイトルを見ていって下さい。

この小冊子の使い方

①まず、一つ一つの「沖縄の基地の話」が1~2行で書かれています。パラパラと見て、見たこと、聞いたことがある「話」への反証を読んでみて下さい。「本当のこと」の根拠を、出来る限り挙げてありますから、この小冊子が主張していることが信じられなかったら、根拠を自分で確認してみて下さい。
②この小冊子は、小規模な勉強会の教科書として使うことを、目的の一つとしています。作ったメンバーが、勉強会の講師に行きますから、そのような会を開きたいご希望があったら、巻末の連絡先まで連絡を下さい。
③この小冊子を使って、多くの人たちがインターネットで発信していけるようになったら、という期待もあります。SNSで、この小冊子を使って、「いやいや、それは違うでしょ」というような発言をして下さい。
④周囲に、ここに取り上げたような「話」を信じている人が、大勢いると思います。そんな会話に出会ったら、「それはね」と、「ホントのこと」を教えてあげて下さい。

◎執筆者一覧(五十音順)──本文の末尾に苗字のみを記しています。
石山永一郎(ジャーナリスト)
佐藤 学 (沖縄国際大学教授)
島袋 純 (琉球大学教授)
星野 英一(琉球大学教授)
真喜志好一(建築家)
宮城 康博(フリーライター)
安田 浩一(ジャーナリスト)
山本 章子(沖縄国際大学非常勤講師)
屋良 朝博(ジャーナリスト)

はじめての方へ

 沖縄の基地や沖縄について、事実に反することがらが広く話されている状況を懸念する者が集まって小冊子作りました。インターネット上で広まった間違った情報について、それらの何がどう違うのかを、大真面目に分かり易く説明する必要がある、ということから、まず、どのような「沖縄の基地の話」が行き渡っているかを見付け、それについて、一つずつ反証(ここが、こう違うという説明)を書きました。
 「辺野古が造られるのは嫌だけど、海兵隊が尖閣を守ってくれるから...」「普天間が返還されるのはありがたいけど、辺野古が造られないと、雇用がなくなるから...」「辺野古を造らないと沖縄から米軍基地がなくなってしまうから...」そんなことを思っている方が大勢います。それらの「心配」には根拠がないことをここから読み取って、その知識の上で、辺野古の問題を改めて考えて頂けたらうれしいです。
 そして、小冊子を使って、多くの人たちがインターネットで 発信していけるようになったら、という期待もあります。SNSで、この小冊子を使って、「いやいや、それは違うでしょ」というような発言をしてもらいたいのです。
また、この小冊子は、小規模な勉強会の教科書として使うことを、目的の一つとしています。作ったメンバーが、勉強会の講師に行きますから、そのような会を開きたいご希望があったら、以下の連絡先まで連絡を下さい。
 というわけで、このブログでは、この小冊子『それってどうなの? 沖縄の基地の話。』のPDFファイルがダウンロードできるようにしたり、小冊子のもくじから個々の反証・検証を検索できるようにしました。
 ダウンロードのリンクと小冊子のもくじは、以下の通りです。存分に使い倒して下さい。

『それってどうなの? 沖縄の基地の話。』
もくじ   http://goo.gl/F7LYIl
ダウンロード 第5刷(2016/05/23)  (Dropboxから (Evernoteから

 また、「沖縄米軍基地問題検証プロジェクト・カレンダー」のページでは、この小冊子『それってどうなの? 沖縄の基地の話。』を使っての勉強会の予定をアップしていきます。そちらも利用して下さい。

「沖縄米軍基地問題検証プロジェクト・カレンダー」



2016年3月
編集したメンバー一同  
(佐藤学、島袋純、星野英一、宮城康博、屋良朝博)

連絡先:okirumor2016●gmail.com(※●を@に変えて送信して下さい)

* 第2刷で、一部番号の変更がありますが、このサイトでは第1刷の番号を変更せずに掲載しています。