日本政府は、中国との軍事衝突がある時に、本当にアメリカが日本に加担して戦争してくれるかが不安でなりません。とりわけ尖閣をめぐっての紛争だと、引いてしまうのではないかと懸念しています。米中直接戦争となれば、大戦争になります。そのような戦争を起こし、継続するためには、アメリカでも国民の支持が必要です。兵士の犠牲が出るだけでなく、大規模な戦争には巨額の予算がかかり、アメリカ国民の生活を圧迫します。アフガン・イラク戦争後に、アメリカ政府は財政破綻寸前に至り、また、「リーマンショック」で経済自体が崩壊するところでした。
そのようなアメリカが、自らへの打撃を覚悟して、国民生活に大打撃を与えるような戦争をするには、特別な理由が必要で、日本の施政権下にあるとはいえ、アメリカが日本に帰属すると決めていない小島をめぐるいざこざで、直接介入する可能性は極めて低いと考えるべきです。
2014年の統計で、アメリカは中国の輸出市場の16.9%を占め、中国にとっては世界最大の輸出先です。逆に、アメリカの輸出市場で中国は7.6%に過ぎず、これはEU、カナダ、メキシコ等の半分以下の比率です。つまり、中国はアメリカ市場が無ければ経済が成り立たないということです。戦争になれば、アメリカは中国製品の禁輸措置を採ります。
他方、アメリカ政府の国債発行総額のうち、外国保有分が60%、中国保有分がその20%です。つまり、中国はアメリカ国債の12%、8分の1を持っています。これを市場で叩き売りすれば、アメリカ政府は財政破綻します。
つまり、アメリカと中国は、経済的に依存関係が強く、戦争になれば、それが一気に止まりますから、両方の経済が崩壊します。世界第一位と第二位の経済がそのような状態になれば、世界大恐慌です。尖閣にそのような価値があると考えるアメリカ国民がどれだけいるでしょうか。(佐藤)
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