沖縄からどの基地がなくなるかをすっ飛ばしてこうしたことを言っても意味がありません。まず、「すべての基地をなくせ」が沖縄県民の総意ではありません。また、普天間を閉鎖・返還しても、嘉手納をはじめ在日米軍基地の70%以上が沖縄に存在し続けます(#5-②参照)。そもそも、辺野古に基地を造らなくとも、米海兵隊は尖閣に戦闘に行きませんから、関係ありません(#4-①参照)。
もし、自衛隊で尖閣を「守る」戦争をするという前提に立ったら、どのようなことが起きるか。尖閣が武力攻撃を受けると、国民保護法に従って、石垣市と宮古島市周辺の島嶼自治体の住民は避難させなければなりません。この地域の人口は10万人以上です。戦闘への自衛隊輸送をしつつ、同時に10万人をどうやって、どこに避難させるのでしょうか。現在、自衛隊の「南西シフト」により、自衛艦の不足が懸念され、民間船舶・船員を一時的に使うことが計画されています。その状況で、船や飛行機で10万人を避難させることは不可能です。
また、尖閣で戦争になれば、即座に沖縄県への観光客はいなくなります。沖縄経済の1割が消滅します。更に紛争地域になれば、県民が消費する食糧・燃料・貨物を運ぶ貨物船も来なくなるか、保険料が高騰し、県民生活が成り立たなくなります。
日本国民は、沖縄だけが被害を受けると考えるでしょうが、日本が中国と戦争をすれば、日本経済はもちません。株価は暴落し、日本の製造業も成り立たなくなります。中国人爆買い観光客がいなくなるどころでは済まないのです。日本経済が崩壊します。最後は戦争だ、というような気分が広がることが、このような危機に導くのです。(佐藤)
この検証へのリンク:http://okidemaproject.blogspot.jp/2016/03/4-2.html